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ビューポイント No.2025-025

3年目を迎えたこども家庭庁への期待 ― これまでの成果と取り組みを急ぐべき課題 ―

2025年10月31日 池本美香


2023年4月のこども基本法施行およびこども家庭庁発足から2年半が経過。こども基本法の施行後5年には見直しが行われるが、その折り返し地点を通過したといえる。そこで、これまでの成果と、対応を急ぐべき課題について整理した。

こども家庭庁創設の成果としては、第一に、子どもの最善の利益実現の観点から、専業主婦(夫)家庭の子どもの保育保障、妊産婦の伴走型相談支援、こどもの居場所指針、こども性暴力防止法など、制度の充実が図られた。第二に、こども大綱の検討過程などで子どもの意見を聴く取り組みが急速に広まったこと、第三に、こども政策の財源が大幅に増え、あわせて使途の見える化が進んだことが指摘できる。

取り組みを急ぐべき課題としては、第一に、学校教育分野におけるこども基本法の趣旨に見合った見直しが指摘できる。具体的には、国連からも改善を勧告されている、過度に競争的なシステムを含むストレスの多い学校環境、および障害児が通常の学校・学級から分離される動きについて、海外動向も参照し改善が求められる。あわせて学校統廃合が子どもに及ぼす悪影響を考慮し、小規模校の積極的活用が期待される。

第二に、子どもの声が聴かれる制度づくりである。そこでは、子どもコミッショナーの国レベルでの設置、および、学校運営への生徒参加を制度的に保障することが期待される。加えて、日常的に子どもの声が聴かれる環境づくりとして、働き方の抜本的な見直しと、保育士等の配置基準の大幅な改善が求められる。

第三に、限られた財源の効果的活用である。具体的には、保育制度の一元化、効果的な政策立案のための統計の充実、学校施設等の空間の有効活用、子ども、保護者、教員など子どもと関わる大人、子どものために役立ちたいと考える市民や企業などへの情報提供の強化を急ぐべきである。


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