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リサーチ・レポート No.2026-009

米DOGE“看板倒れ”の教訓 -わが国の補助金・租税特別措置見直しの課題-

2026年11月05日 河村小百合


2027 年度予算編成に向けた作業が本格化するなか、高市早苗政権は租税特別措置・補助金・基金の見直しを徹底する方針を掲げ、取り組んでいる。

しかしながら、「DOGE(政府効率化省)」の取り組みを先行させたアメリカの実態をみると、実現できた歳出の節減額は、第2期トランプ政権発足時のかけ声を大きく下回る2,150億ドルにとどまった。しかも、同国のGAO(政府説明責任局)が検証したところ、この金額の相当な部分の信憑性が疑問視されており、いわば“看板倒れ”、かつ連邦政府の仕事ぶりとしては“お粗末”という結果となっている。

今の時代、米DOGEのようにITやAIを活用して見直しを進めることは有効な手法となり得る一方で、トランプ政権は見直しの方針を「DEI(多様性・公平・包摂性」の否定」以外には打ち出さなかったこと、また連邦政府の歳出膨張の最大の要因の一つである社会保障制度等の改革に取り組んだわけではなかったことが、米DOGEの成果が不発に終わった要因と考えられ、わが国にとっての教訓でもある。

わが国の一般会計の補助金の4分の3は地方公共団体向けに支出されており、その大半を社会保障関係費や文教・科学振興費が占める。そのほとんどは法律に根拠を有する「法律補助」でもあり、容易にカットできるものでないことは自明である。

補助金見直しの対象の中心は民間向けとならざるを得ないが、高市政権が成長・危機管理投資の促進を看板に掲げ、経済産業省が2027年度の概算要求で前年度対比2.2 倍もの金額を掲げるなかで、どれほどの見直しができるかが注目される。

租税特別措置(租特)に関しては、各府省及び総務省による政策評価によって規律付けを図る仕組みが2010年から設けられているものの、近年の例を見る限り、実際の税制改定の議論の場でどの程度活用されているのかは疑わしい。また、政策評価の際に、減税の恩恵に与る当事者の負担軽減ばかりを「効果」ととらえるだけでは、租特に本質的に根差す、「公平・中立・簡素」という課税の基本原則に抵触する問題について十分に検討を尽くすことはできない。

高市政権による目下の補助金や租特の見直しの取り組みが、どの程度の成果を上げるものとなるのかは現時点で定かではない。しかしながら、わが国の財政運営をめぐる市場環境は極めて厳しく、遠からず歳出の大幅な圧縮を余儀なくされる可能性も否定できない。政権として明確な削減額や財政収支改善幅の数値目標を掲げるとともに、ITやAIによるデータ分析も活用し、租特についてはデータ公開を徹底し、オープンな場で改革の議論を行い、成果につなげることが求められている。


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