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リサーチ・レポート No.2025-009

現実的な脱炭素のカギを握る「公正な移行(Just Transition)」

2025年10月17日 大嶋秀雄


近年、気候変動対応への逆風が強まるなか、”現実的な脱炭素”が課題に。現実路線のカギを握る取り組みに「公正な移行」。公正な移行とは、社会・経済構造の変化に誰一人取り残さないことを目指すもので、国際的に、脱炭素社会への移行では、倒産・失業等を回避する公正な移行の実現が重要と認識。

一方、わが国のグリーントランスフォーメーション(GX)戦略は、「競争力の強化」を重視。公正な移行にも取り組む姿勢ながら、具体策は限られる。競争力の強化と公正な移行は、円滑な脱炭素移行に不可欠な両輪であり、とくに、人手不足が深刻化するわが国では、公正な移行によって成長産業等への労働移動等を促すことは、競争力の強化にも貢献するため、両者のシナジーを高めていくことが重要。

わが国における20世紀後半の石炭鉱業からの脱却(“脱炭鉱”)の教訓や、EUの公正な移行メカニズムなどの海外の先行事例を踏まえると、公正な移行では、①労働、産業、金融、教育など多面的な取り組みを行うこと、②脱炭素に向けて課題を抱える幅広い産業・企業・労働者を対象にすること、③長期の時間軸での支援を行うこと、④地域起点で取り組み、地域に適した対策を実施すること、が重要。

今後、わが国政府・自治体には、以下の取り組みが求められる。
(1)ロードマップ策定:企業・労働者にフォワードルッキングな対応を促すため、政府は、将来の産業構造の方向性や、競争力の強化と公正な移行の両方を重視した移行計画を策定する必要。
(2)多面的かつ一貫した政策運営:取り残されるリスクのある主体や課題を踏まえて、広範な産業を対象に分野横断的な政策運営。一貫した政策運営のため司令塔となる行政組織設立も一案。
(3)地域起点の取り組み:各地域で様々なステークホルダーが連携、地域に適した移行計画策定や支援体制構築、対策パッケージ検討・推進。政府との役割分担や、他の地域等との連携も重要。

(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
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