リサーチ・フォーカス No.2026-057 移り変わる可処分所得の変動要因 ― 2020年代は賃上げの遅れと年金給付の目減りが下押し要因 ― 2026年10月21日 藤本一輝賃上げが進むなかでも消費が盛り上がらない要因の一つとして、雇用者報酬に比べて家計全体の可処分所得の伸びが弱いことが挙げられる。実際、家計全体の可処分所得と雇用者報酬の比率は2010 年代から緩やかな低下傾向にある。可処分所得の変動要因は時期によって異なる。2010 年代には、雇用者数の増加を支えに総雇用者報酬は増加したものの、税・社会保険料の負担増が勤労者を中心に可処分所得の伸びを抑制した。一方、2020 年代には税・社会保険料負担による下押しは2010年代より小さく、賃金の伸びや、年金を含む社会給付の伸びが物価上昇に追い付いていないことが、可処分所得の主な下押し要因となっている。2020 年代の可処分所得の下押し要因を踏まえると、中低所得層の就業者を含む家計の負担軽減によって当面の購買力を下支えしつつ、生産性の向上などを通じて物価上昇を上回る賃上げを持続させることが重要である。また、年金の給付水準の調整が長期化する可能性を踏まえ、資産に乏しい高齢者の生活困窮リスクにも目を向ける必要がある。年金財政の持続可能性を確保しつつ、現役・将来世代への過度な負担を避けながら、就労を希望する高齢者が長期にわたって働ける環境を整備することに加え、既存制度の連携や申請負担の軽減を進め、低所得・低資産の高齢者に必要な支援が届く仕組みを充実させることが求められる。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)