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リサーチ・フォーカス No.2026-033

中国の赤字企業比率上昇をどうみるか

2026年08月12日 関辰一


中国の名目GDPは増加し続けており、企業部門全体としてみれば成長の機会は拡大している。それにもかかわらず、赤字企業比率が急上昇している。本稿は、その背景をミクロデータに基づいて分析した。

赤字企業比率上昇の要因は時期によって異なる。2019~2022年は、新型コロナウイルス対策として実施された厳格な外出規制や、不動産不況が主因であり、飲食・宿泊業、不動産業、建設業など非製造業を中心に赤字企業が増加した。

近年(2022~2025年)には、情報通信機器・電子部品・デバイス、はん用・生産用・業務用機械、電気機械、化学工業で赤字企業が急増した。これら4業種だけで全体の上昇分の約6割を説明できる。

情報通信機器・電子部品・デバイス製造業についてみると、人工知能(AI)の普及や半導体などの需要拡大により付加価値額が増加を続けている。しかし、市場シェアの獲得を目指した設備投資競争や価格競争が過熱し、多くの企業が収益悪化に直面している。

もっとも、企業間競争を通じた選別が進んだ結果、利益は一部の有力企業に集中し、「優勝劣敗」がはっきりとみえるようになっている。同分野では、トップ1%企業の利益シェアが2022年の24.0%から2025年には43.3%へ上昇した。

有力企業は「国内チャンピオン企業」であると同時に「グローバル・チャンピオン企業」としてのポジションを形成しつつある。他方、規模の経済を十分に活用できなかった企業が、競争激化の中で赤字へ転落している。

また、赤字企業を一括りに「敗者」とみなすことはできず、将来性を高く評価されている「前向きな赤字企業」も少なからず存在している。同分野の赤字企業の約半数は、市場平均を上回る株価上昇を記録しており、これらの企業は研究開発活動や無形資産への投資に積極的である。

したがって、中国における赤字企業比率の上昇は、単純に中国経済の停滞を反映したものではない。熾烈な競争によって多くの企業が収益悪化に直面しているが、他方で、競争力の高い企業に利益が集中し、新たな成長企業も生み出されている。


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