リサーチ・フォーカス No.2026-025
米国中間選挙プレビュー① ― 議会制約の強まりと大統領単独行動への傾斜 ―
2026年07月15日 福田直之、ジェイムズ・パターソン、野木森稔
2026 年11 月の米国中間選挙は、トランプ政権2期目への信任投票となる。物価高や燃料高への不満から大統領不支持率が高まっており、与党・共和党への逆風が強まっている。そうしたなか、全議席改選の下院は民主党が過半数を奪還する可能性が高く、上院は共和党が多数を維持する見込みである。ねじれ議会の誕生により、新規立法や歳出、行政監視の面で内政上の制約は強まるが、上院の人事承認権や大統領拒否権、大統領令などの単独権限は維持されると予想する。
トランプ政権は、国内政治で成果が見込めなくなるなか、議会の制約を受けにくい対外政策を強硬化させる恐れがある。世界経済へのリスクは三点あり、第一に中南米などへの唐突な軍事介入による地政学リスクの台頭、第二に通商法を用いた追加関税の導入による貿易の混乱、第三にUSMCA 延長拒否や二国間協定の重視に伴う国際協調の停滞である。これらは企業活動の不確実性を高め、グローバルサプライチェーンを停滞させるなどを通じて、経済を悪化させる恐れがある。
わが国に対しては、対米投資の早期実行要求が強まる可能性が高いとみている。これまでの投資には次世代原子炉など日米双方に利がある新技術協力も含まれた。しかし、今後は必ずしも日本の経済や企業へのプラス面が大きい案件が増えるとは限らない。中間選挙後、トランプ政権は対米投資の件に留まらず、各国への外交的な圧力をさらに高めていく可能性が高い。日本を含む各国政府にとって米国との交渉は一段と難航することが予想され、経済へのマイナス要因が強まりやすい展開に対して今後の動向を警戒すべきである。
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