リサーチ・フォーカス No.2026-015 頼れる身寄りのない高齢者の入院手続き支援 2026年06月03日 岡元真希子頼れる身寄りのない高齢患者への対応はリスクと業務負担が大きいため、入院を断る医療機関もある。医療費が未収になるリスクが高い、生活面の支援を病院職員が行う負担が生じる、医療にかかる意思決定支援が難しい、退院調整が滞り入院が長引く、遺体の引き取りに時間がかかることなどが理由である。 高齢者等終身サポート事業者との契約を条件に、身寄りのない患者を受け入れている医療機関もある。しかし、終身サポート事業は総じて利用料が高く、地域的に偏在しているため、社会福祉法の改正により、届出事業者が「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」として入院手続き支援を提供できるようになる見通しである。 新たな事業の担い手として期待されているのが社会福祉協議会(以下、社協)である。全国の社協は、現在、介護保険サービスなどの契約手続きや利用料の支払い、日常的金銭管理などの支援を行っている。現行の仕組みを応用するとともに、医療機関側が求める支援を追加することで、入院手続きの支援が円滑に実施可能と考えられる。 具体的には、予想される医療費相当額を日常的金銭管理の対象口座に確保しておけば、入院時の支払い支援ができる。生活支援サービスの利用手続き支援、退院先の検討・調整は、現在の事業の支援方法が活用可能と考えられる。一方、新たに追加すべきは、医療にかかる意思を利用者に確認し、医療機関に提示できるよう書面にしておくことと、亡くなった際の対応について予め明確にしておくことである。実施は利用者の死後になるが、遺体に関する連絡・調整と、生前に発生した医療費等の精算までは支援に含めた契約内容としておくべきである。 事業の円滑な実施にあたっては、地域の医療機関との合意形成、救急時・死亡も見据えたサービスの設計ならびに関係機関との合意、自治体による戸籍の公用請求の仕組みの活用も重要である。 (全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)