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リサーチ・フォーカス No.2026-014

「未富先老」に直面する東南アジア ― 日本の経験を活かし、政策とビジネスの一体的な展開で競争力の向上を ―

2026年06月01日 呉子婧


東南アジアでは少子高齢化が想定以上の速度で進んでおり、従来の「低賃金・豊富な労働力」に依存した成長モデルは転換点を迎えている。都市化の進行や生活コストの上昇、人口移動の増大も出生率低下や地域間格差を加速させており、経済発展の途上で高齢化が進む「未富先老」に加え、社会保障制度の整備が十分に進まないまま高齢化を迎える「未備先老」も顕在化しつつある。

この結果、潜在成長率の低下や財政負担の増大が見込まれ、「中所得国の罠」からの脱却に向けた時間的・財政的な猶予は縮小している。各国政府は出生率の回復や高齢化への対応を模索しているものの、成長モデルの転換に向けた実効的な道筋はなお明確ではない。

こうした状況において、日本の経験が東南アジアの少子高齢化への対応に貢献できる可能性がある。日本は世界に先駆けて超高齢社会の問題に取り組んできた国であり、技術や制度の両面で蓄積された実践知を持つ。実際に、一部の国では介護人材の育成や高齢者向けサービスの展開、ICTの実装など、日本型の対応モデルが現地に適合するかたちで導入されている。一方、全体としてはなお個別事例にとどまっており、体系的な展開には至っていない。

今後は、政策協力を通じた制度設計・標準化と、民間企業による技術・サービス提供を一体的に進める官民連携の強化が求められる。地域標準が形成される初期段階から関与し、日本の知見を現地の制度やサービス運営に組み込むことができれば、日本企業の中長期的な競争優位につながる可能性もある。


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