リサーチ・フォーカス No.2026-011
原油高で先行きの日本経済はどうなるか ― 過去の原油高局面の振り返りと示唆 ―
2026年05月14日 藤本一輝、小林佑里恵、久野晨人、松田健太郎
本稿では、夏ごろまでに中東情勢の緊張が和らぎ、原油価格が緩やかに低下する想定のもと、過去の原油高局面を振り返ったうえで、わが国経済の先行きを考察。
過去の原油高局面からは、以下のような示唆。
石油危機:第1次のように、大幅な賃上げと価格転嫁が連鎖するとインフレが内生化し、結果的に経済への悪影響が大。近年は、①労使協調的な賃上げ交渉が続いていること、②社会全体で省エネが進んでいること、を踏まえると同様の事態が起きる可能性は低。
デフレ期:企業がコスト上昇を価格転嫁せずに吸収。近年は、企業の価格転嫁姿勢が強まっており、同様の事態が起きる可能性は低。
コロナ禍:賃上げが物価上昇に追い付かず、家計が原油高を負担。政府が補助金によりエネルギー価格を抑制するといった対策を実施して、家計の負担を軽減。
今次局面では、コロナ禍と同様に「一定の価格転嫁が生じるも、家計負担を政府が緩和」という構図が継続する公算大。
補助金には、①財政悪化や需要下支えを通じた物価上昇圧力の強まり、②石油や関連製品の備蓄の減少・枯渇、という副作用があるほか、中長期的には省エネのインセンティブを削ぐ側面も。国際秩序が混迷を極めるなか、補助金による短期的な対応にとどまらず、中長期的な観点から経済ショックに対して強靭な経済構造への転換が重要。
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