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リサーチ・フォーカス No.2026-008

外国人材はなぜ地方に定着しないのか ― 秩序ある地方定着に向けて解決すべき課題 ―

2026年04月28日 井上肇


日本では外国人材の受け入れが拡大しているものの、地方で受け入れた人材が定着せずに都市へ移動する傾向がみられる。技能実習から特定技能への移行時においても都道府県をまたぐ転居が一定割合で生じており、地方から都市に人材が流出している。

外国人材の移動には賃金格差が一定の影響を及ぼしているが、それだけで地域間の移動を十分に説明することはできない。最低賃金が同じ地域間でも流出率にばらつきがみられるなど、賃金以外の要因も移動の判断に影響している。

地方定着が進まない本質は賃金水準だけではなく、外国人材の受け入れ制度が地域で暮らし続けることを前提に設計されていない点にある。この点、オーストラリアの地域移民政策は、地域での就労・居住を条件とした暫定ビザと永住権取得を結びつける制度設計により、地域定着を一定程度促している。実証研究によれば、地域ビザを経て永住権を取得した移民の約7割が、永住権取得後も一定期間にわたり非大都市地域に居住しており、地域定着は新規流入よりも既存居住者の継続によって支えられている。

さらに、地域定着は制度に加えて、教育・医療・行政サービスを含む生活基盤や地域社会における関係性にも大きく依存する。家族帯同や子どもの教育環境、配偶者の就労・言語支援といった条件も、定着の持続性を左右する重要な要素である。

このような点を踏まえると、日本において外国人材の地方定着を進めるためには、①地域での就労継続が永住や在留安定に結びつく制度設計、②生活基盤とコミュニティを含めた居住環境の整備、③家族帯同を前提とした定住条件の整備、の三点を進める必要がある。

もっとも、外国人材の地方定着を進めるにあたっては、地域住民の不安にも配慮が必要である。生活ルールの共有や地域住民との接点づくりを通じて不安が増幅しない受け入れ体制を整えたうえで、人数の上限設定等、地域社会の秩序を維持するための対応も検討すべきである。


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