リサーチ・フォーカス No.2026-007 アクティビストの動向と本邦上場企業に求められる対応 2026年04月23日 吉田剛士近年、本邦上場企業に対して、アクティビストが介入する事例が増加。本邦上場企業の企業価値評価(バリュエーション)が欧米企業対比低位であることに加え、金融庁や東証等による各種ガバナンス改革が背景に。ターゲットとなる企業には、株価純資産倍率(PBR)が低い、負債比率が低い、現金等比率が高い、金融機関による株式保有割合が低い、外国法人等による株式保有割合が高い、といった特徴あり。アクティビストによる提案は、量・質の双方において顕著に増加・進化。従来からの株主還元や取締役選解任といった提案に加え、事業ポートフォリオの抜本的見直しやM&A、非公開化といった経営・事業戦略の根幹に関わる高度な提案も増加。株式公開買付(TOB)公表後にアクティビストが介入し、買付価格の引き上げ等を要求する「バンピトラージ」と呼ばれる事例も増加。とりわけ、経営陣によるMBOや親子上場解消、持分法適用会社の完全子会社化といった非公開化案件が対象に。アクティビストの活動が活発化するなか、本邦上場企業および当局として、以下の3点の対応が重要。① 余剰資金を抱えこまないことによる企業価値の向上企業価値を向上させ、株価を上昇させることが最大のアクティビスト対策。本年4月のコーポレートガバナンス・コードの改訂も踏まえ、余剰資金を成長投資や株主還元に有効活用するキャッシュ・アロケーションの実践が必要。② コーポレートアクション実行時におけるマーケットへの配慮MBO や完全子会社化といった非公開化に際しては、不利益を被る恐れのある少数株主に配慮し、特別委員会による意見の取得や積極的なマーケット・チェックなど公正な手続きを実施することが肝要。③ アクティビストによる株主提案権の濫用抑制短期利益を追求するあまり、中長期的な企業価値を毀損する恐れのあるアクティビストの行動を抑制する必要。とりわけ、株主提案権の濫用的な行使などを防ぐため、株主提案権の見直しを含む会社法のアップデートを検討する段階に。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)