リサーチ・フォーカス No.2025-071 婚姻数の増加の要因と今後の展望 2026年03月24日 藤波匠コロナ禍で急減した婚姻数が増加に転じている。厚生労働省の人口動態統計速報値によれば、2025年の外国人を含む婚姻数は、前年比+1.1%の50.6万組となり、これにより増加は2年連続となった。 婚姻数が増加に転じた背景には、コロナ禍における急減からの反動に加え、若年人口の下げ止まりがある。これは、1990 年から 2000 年までの出生数が年間120万人で安定していたことによるもので、この世代がいま、結婚が多い 20 歳代後半から 30 歳代前半となり、婚姻数を下支えしている。 地域別にみると、東京をはじめとする大都市での急回復の影響が大きく、地方部では依然として減少が続いている。地方部で婚姻数の減少局面から脱することができないのは、地方での核家族化の進展や男女比のバランスの悪さが影響していると考えられる。 東京都で婚姻数が急増した理由として、豊かな財政力を背景とした手厚い少子化対策(結婚支援、児童手当の充実、妊娠子育て期の切れ目のない支援、その他さまざまな無償化政策)に取り組んでいることや、保育所の不足が解消されたことによる子育て環境の改善、さらには共働き夫婦の増加に伴う通勤の負担を減らす居住地選びなどにより、結婚、出産を望む若い世代が、都内、とりわけ都区部に集中する動き、などが指摘できる。東京都では出生数も増加に転じた。 地価・住宅価格の上昇にもかかわらず、都内の婚姻数・出生数が増加に転じたことは、都の支援策を子育て世帯が好感していることの表れと言える。 ただし、天井知らずの東京都区内の住宅価格・家賃と手厚い少子化対策により、今後、低所得の子育て世帯、および支援の外に置かれた子どもを持たない世帯にとっては、都内に暮らし続けることが難しくなり、ジェントリフィケーションとも呼べる状況を生む可能性がある。 また、大半の自治体が、財政的に東京都に追随することは困難であるため、無償化政策や現金給付については、全国同一の水準に揃えられるよう国による財政的補完を検討することや、国と都が「支援策をどこまで手厚くするか」について調整を図ることが必要となろう。 (全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)