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リサーチ・フォーカス No.2025-064

「地域移民政策」は地方定着を実現できるか ― 豪州の地域ビザ制度にみる定着率約7割という成果と制度・空間・入口の重要性 ―

2026年02月03日 井上肇


地方部を中心に人材不足が深刻化する日本において、外国人材の地方定着を制度的に後押しする余地は大きい。現在、外国人材の受け入れは都市部に偏在しているが、これは外国人材が地方に定着し得ないことを意味するものではない。制度設計と受け入れ環境の組み合わせ次第で、地方定着を高める余地がある。

豪州では、地域定着を明確な目的として、地域での居住・就労を求める地域ビザ制度が導入されている。暫定的な滞在から永住、さらには市民権取得へと至る明確な制度経路が整備されており、地域ビザは技能移民制度の中核的なルートの一つとして、一定の成果をあげている。地域居住から永住に至る見通しが整備された制度設計は、地域での就労・生活を定着させるインセンティブとして機能している。

地域ビザには、大都市ではない地域(非大都市地域)での定着率を一定期間高める効果もある。地域ビザを経由して永住権を取得した移民の約7割は、永住権取得後も非大都市地域に残っており、地域居住が一定期間維持されていることが確認されている。また、地域ビザ保持者の約8 割は国内からの申請者であり、その多くは取得前から非大都市地域に居住している。この点は、留学などの入り口政策が重要であることを示している。

地域定着の成否は、ビザ制度だけでなく、居住環境にも左右される。豪州では大都市圏への人口集中が続いており、地域ビザ制度の導入が地域定着をただちに保証するものではないことを示している。雇用機会、住宅、教育・医療へのアクセス、家族帯同といった条件が整った地域では、定着が生じやすいことが示唆される。

日本において外国人材の地方定着を進めるためには、次の三つの柱を一体的に設計することが重要である。第一に、地域居住から永住に至る見通しを伴う在留資格ルートを制度化し、中央政府が総枠管理と審査を担いつつ、地方が人材を推薦する分権的な制度構造を構築する、第二に、雇用と生活基盤が整った地方中核都市やその周辺地域を定着の拠点として位置づけ、外国人材が住みよい街づくりを進める、第三に、留学生などについて、学生・初職の段階から地域との関係を組み込み、入口段階での就学・就業と地域定着を接続する制度設計を行うことが挙げられる。


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