リサーチ・フォーカス No.2025-062 データから見る地方自治体のAI活用の現在地点と浮かび上がる課題 2026年01月29日 野村敦子わが国の公共部門におけるDX推進にあたり、重要なツールの一つがAIである。AIはすでに経済・社会の様々な分野で導入されており、地方自治体においても積極的な活用を推進し、行政が抱える様々な課題解決に繋げることが求められている。2025年には、わが国初の包括的な法律であるAI法が成立・施行され、同法に基づきAI基本計画が策定された。AI法では、地方自治体の責務として「AIに関する施策の策定および実施」することが規定されている。地方自治体におけるAIならびに生成AIの導入・活用について、本稿では、総務省資料をもとに人口規模別・都道府県別にみた基礎自治体(市区町村)のAI導入の進展状況の把握を試みた。同資料によれば、全自治体(都道府県を含む)のAI導入率は2018年末時点で5.8%であったのが2024年末時点では59.2%と順調に進展、生成AIの2024年末の導入率は32.0%であった。もっとも人口規模別にみると、市レベルのAI導入率は2024 年末に80%以上に達しているのに対し、町・村は大幅に遅れている。導入の課題については、人材不足とする回答が最も多いが、小規模自治体では予算獲得が困難との回答も多い。生成AIに関しては、人口規模による差が一段と顕著であり、都道府県・政令指定都市の導入率は9割程度であるが、町・村は1割前後にとどまる。課題に関しては、生成物の正確性に対する懸念や要機密情報の流出など、生成AI特有の課題を挙げる回答が多いが、小規模自治体は人材不足・予算獲得が困難との回答も多い。都道府県別にみると、基礎自治体のAI導入率の差が上位と下位で40%以上と、地域間格差が顕在化している。課題については、人材不足とする回答割合が最も多いが、遅れているところほど予算獲得を挙げる割合が高く、小規模自治体と共通する。生成AIに関しては、導入率50%超の都道府県は5団体にとどまる。AIと連動して進捗している団体もあれば、AIに比し生成AIの導入が遅れているところ、逆に生成AIの方が進んでいるところもあるなど、地域によって状況には差がある。総じて北海道・東北地方が遅れているほか、高知県、奈良県、山梨県、長野県、鹿児島県などが、AI・生成AIのどちらも導入が進捗していない状況にある。起因する要因を詳細に分析するためにもデータのさらなる公開が望まれる。上記ならびに総務省における検討内容を踏まえると、①人材の育成・確保、②予算の確保、③適正な利用促進のためのガイドラインの策定・提示、が早急に取り組むべき課題である。取り組みにあたっては、国や都道府県が主導して複数自治体間における連携や共同化をこれまで以上に強力に後押しすることが求められよう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)