リサーチ・フォーカス No.2025-052 わが国の長時間労働の是正は道半ば ― 時間外規制の一律的な緩和は避けるべき ― 2025年12月26日 小方尚子わが国では、長時間労働者が依然として多く、その是正は道半ばである。週60時間以上働いている労働者は諸外国と比べても依然として多く、とくに非製造業に従事する男性の正規雇用で労働時間が長い傾向にある。長時間労働が根強く残る要因としては、①人手不足の下で新規採用が追いつかないこと、②職務の無限定性や長期安定雇用の重視などに代表される日本特有の雇用制度、③長時間労働を選好しやすい働き方などが挙げられる。長時間労働の是正に向けて、①各企業における人的資源管理の効率化、②労働生産性の向上に向けたビジネスモデル改革、③労働者の交渉力の強化、④企業外の技能実務教育の拡充、など多方面にわたる一層の対応が必要である。政府は労働時間の上限規制を見直す方針を打ち出しているが、一律に規制を見直すことは適切ではない。①業務の成果が労働時間に比例しない、②労働者に時間配分の裁量が十分にあるといった観点から判断する必要がある。これらの要件を満たす高度専門職などでは時間規制を見直す余地がある一方、それ以外の職種では規制緩和を避けるべきである。長時間労働を生む要因は変化し続けるだけに、よりよい制度設計に向けた取り組みを継続することが重要である。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)