リサーチ・フォーカス No.2025-046 コロナ禍に支給された「給付金」は妥当だったのか ~ 銀行預金130万口座のビッグデータを活用した効果検証 ~ 2025年11月07日 野村拓也2020年以降のコロナ禍においては、個人及び法人に対して政府から給付金が支給されたものの、その妥当性について、未だ十分な検証がなされていない。そこで本稿では、個人約104万口座、および、法人約30万口座の預金残高の推移を分析し、給付金制度に関して、以下の示唆を得た。個人向けの「特定定額給付金」については、個人に幅広く財務的なストレスが生じていたことから一定の意義が認められるものの、支給額が過大であった可能性は否めない。特に高所得者への給付額が過大であったことが窺え、所得に応じて支給額に差異を設けることも一案であったと考えられる。法人向けの「持続化給付金」についても、給付金がなければ預金が減少し、事業が成り立たなかった法人もあったとみられることから、一定の意義は認められる。ただし、「事業収入が前年同月比50%以上減少した事業者」との給付要件が政策目的に整合的であったか検証の余地があったと考えられるほか、支給額が過大であった可能性もある。なお、今回の分析は、金融ビックデータを活用した政策評価を試行したものであり、分析方法に留意点も存在するものの、今後もEBPM(エビデンスに基づく政策立案)に向けた取り組みの一つとして、ビッグデータを活用して政策効果を分析し、今後の政策立案に活かしていくことは有用であろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)