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リサーチ・アイ No.2026-064

観光大国タイ、インバウンド獲得競争で一人負け ― 周辺国の受け入れ環境改善で、タイの優位性が低下 ―

2026年10月26日 呉子婧


東南アジアの主要な外貨獲得源である観光産業に暗雲。中東危機に伴う空域の一部閉鎖に加え、原油・ジェット燃料価格の高止まりを背景とする運賃上昇が旅行需要を下押し。足元のインバウンドの動向は東南アジア内で明暗が分かれており、ベトナムやインドネシアなどは逆風下でも外国人観光客の受け入れを順調に伸ばす一方、東南アジアで最多の外国人観光客を集めるタイは、2026年1~9月の外国人観光客数が前年同期割れと、一人負けの様相。この背景として、以下の2点が指摘可能。

第1に、周辺国の観光競争力の向上。インドネシア、ベトナム、フィリピンでは、インバウンド誘致キャンペーンや査証免除措置の拡大、航空アクセスの改善を推進。これらの国では、観光産業の発展基盤の充実度合いを示す旅行・観光開発指数(TTDI)は2019年から2026年にかけて大きく改善しており、その改善率はいずれもタイを上回る状況。第2に、安全面への懸念。タイでは、外国人の誘拐や国境をまたぐ詐欺事件といったマイナス報道が相次ぎ、中国政府は自国民に注意を喚起。

タイのインバウンド需要が本格的に回復するまでには、時間を要する見込み。域内主要国が観光客の受け入れ策を拡充する一方、タイでは制度の悪用防止等のために9月に査証免除による滞在可能期間を短縮。さらに、燃料高や需要の弱さを受けて一部の航空会社がタイ路線の運航計画を下方修正。タイ経済は国際観光収入への依存度が大きいため、インバウンドの低迷が長期化すれば、幅広い関連産業の下押しを通じて経済成長の阻害要因となる恐れ。


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