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リサーチ・アイ No.2026-047

「8%成長」を急ぐインドネシア、中央銀行への政治介入を強化 ― 中銀の独立性低下が、実体経済の足かせになるリスクも ―

2026年09月01日 呉子婧


インドネシアのプラボウォ政権は2029年までに実質GDP成長率8%の実現を経済目標として掲げているが、足元の成長率は5%近傍にとどまり、目標との乖離が大。成長率の引き上げに向け、政府は中央銀行への介入を強化。具体的には、①政権による中銀人事への影響力強化、②国会による中銀の成長・雇用貢献に向けた監督権限強化、③政府から中銀の流動性供給への介入強化。もっとも、こうした動きは中銀の独立性を低下させ、以下の2つのルートを通じてインドネシアの経済成長力をかえって損なう恐れ。

第1に、国債のリスクプレミアムの上昇。Alterほか(2026)は、新興国の国債利回りを左右する要因として、グローバル要因に加え、中銀の独立性を含む国内要因も重要であると指摘。足元のインドネシアの10年国債利回りは7%台と、ASEAN主要国で高水準。中銀の独立性に対する懸念から国債利回りが一段と上昇すれば、政府の利払い負担が増加し、インフラ整備や産業振興など、成長戦略に充てる財政余力が狭まる恐れ。同時に、海外投資家の国債売却を通じてルピア安が進めば、企業は資金調達コストと輸入コストの双方の増加に直面し、投資・雇用を抑制。

第2に、物価高の長期化。中銀への政治関与が強まり、金融政策が景気に配慮して後手に回るとの警戒感が広がれば、インフレ圧力を増大させる恐れ。たとえば、トルコでは、2021年3月に政府介入により中銀総裁が交代し、高インフレ下にもかかわらず利下げに転じたことで、通貨安による輸入物価の上昇や期待インフレの上昇を通じて、物価高が深刻化・長期化。インドネシアにおいても、原油高やルピア安による輸入物価の上昇圧力が強いなかで中銀の独立性への信認低下が重なれば、インフレ期待を通じて物価高が長期化する可能性。この場合、家計・企業の負担増加が消費・投資の重石に。


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