リサーチ・アイ No.2026-028
政策がもたらす物価負担感の世帯間格差 ― 高齢世帯は相対的に高いインフレ率に直面、子育て世帯は家計負担の軽減を実感しづらい可能性 ―
2026年07月08日 藤本一輝
足元にかけて、わが国のインフレ率は1%台まで低下。食料価格の伸びがピークアウトしているほか、政府による家計負担軽減策がインフレ率を下押し。エネルギー価格抑制策に加えて、2025年度からは高校授業料支援の拡充を含む教育費負担軽減策が家計負担を緩和。
もっとも、政策の対象品目や対象世帯の違いにより、各世帯類型が直面しているインフレ率には差異。とりわけ、教育無償化の恩恵は高校生を含む就学中の子どもを持つ世帯に集中的に表れ、同世帯のインフレ率を下押し。2024年度の世帯類型別の消費支出の内訳をみると、子育て勤労世帯では教育関連支出は全体の8%を占める一方、その他の世帯ではほぼゼロ。このウエイトを用いて、2025年度に各世帯が直面しているインフレ率を試算すると、子育て勤労世帯では、総世帯平均に比べてインフレ率が▲0.3%ポイント抑制される一方、高齢無職世帯では、消費支出に占める食料費の割合の高さも相まって、総世帯平均を+0.3%ポイント上回るインフレ率に直面。高齢無職世帯は賃上げの恩恵も受けにくく、保有資産の乏しい世帯を中心に物価高による負担感が強まっている公算大。
子育て世帯についても、家計は構造的に負担の軽減を実感しづらい可能性。子育て世帯では、子どもの成長に伴って教育関連支出や食費などの支出水準が高まりやすく、物価上昇だけでなくライフステージの変化によっても家計支出が増加することが背景。教育費負担軽減策は家計負担の緩和に寄与するものの、家計全体でみれば、子どもの成長に伴う支出増で効果が埋もれる場合がある点に留意が必要。
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