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リサーチ・アイ No.2026-027

【サプライチェーン再編シリーズ⑦】タングステン価格急騰と重要鉱物サプライチェーン再編への追い風 ― 中国規制・軍需拡大・備蓄競争がもたらす構造変化 ―

2026年06月22日 野木森稔


超硬工具や兵器などに使われ、重要鉱物にも含まれる「タングステン」の供給不足が深刻化。主要供給国である中国はその輸出を減らしており、特に日本への粉末など上流製品の供給が途絶している状況。中国政府は2025年2月にデュアルユース輸出管理を強化し、タングステンもその対象に。2026年以降、日中関係の悪化を受けて、日本向けに輸出管理を強化したことが供給のさらなる下押し要因に。2026年5月の中国タングステン輸出価格は2024年平均価格に対し約6倍に。

中国による規制以外にも、兵器向け需要や重要鉱物備蓄政策も需給ひっ迫に寄与。米国を中心にミサイルなど兵器の需要は増加傾向。加えて、先進主要国は重要鉱物備蓄政策を強化しており、米国は今年に入り大規模な備蓄政策を開始、日本は過去よりも備蓄を積極化、欧州も備蓄制度を開始の動き。タングステンについては、とくに上流製品において中国製のシェアが大きく、日本や米国では代わりとなるリサイクル可能なスクラップなど下流製品の買い込みが目立つ。

もっとも、2025年以降のタングステン価格上昇は、中国以外の採掘・精錬の採算性を改善させ、サプライチェーン多様化を後押し。中国外では最大規模とされる韓国サンドン鉱山にて2026年3月、採掘が再開されたほか、豪州やカザフスタンでの鉱山開発が進展。これは、輸出規制による圧力は市場原理により徐々に緩和可能ということを示唆。他の重要鉱物でも今後同様の供給不足が深刻化する恐れがあるが、長期的な目線の供給網開拓を冷静に続けていくことが重要。


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