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リサーチ・アイ No.2026-019

中東危機の長期化が高めるアジアの通貨・債務リスク ― 財政悪化懸念で通貨安・インフレが加速、供給制約がアジアGDPを▲2%下押しする恐れ ―

2026年06月02日 細井友洋


米国・イランの軍事衝突から3カ月が経過。戦闘終結に向けた協議の進展が報道されているものの、状況は予断を許さず、ホルムズ海峡の封鎖とエネルギー価格の高騰が長期化するリスクは残存。この場合、以下の2点からアジアの景気後退リスクが上昇。

第1に、財政悪化への懸念の高まり。各国は家計の負担緩和に向けた対策を実施。台湾、ベトナムなど一部を除き、コロナ禍以降対GDP比でみた債務残高は高止まりしており、財政の持続力に懸念。とくにインドネシアやタイでは足元で財政負担が急速に拡大しており、エネルギー価格の高騰が長期化すれば、財政悪化への懸念に加え、エネルギー輸入額の増加による経常収支の悪化を通じて、通貨安圧力が強まる可能性も。その場合、輸入インフレの加速を通じて、消費や投資を一段と下押し。

第2に、供給制約の本格化。資源を海外に依存する国を中心に深刻な景気後退に陥る恐れ。とくに韓国、台湾、タイは一次エネルギー供給に占める石油やガスの割合が大きく、その大半をホルムズ海峡周辺国からの直接的な原油・ガス輸入に依存。輸入途絶が長期化した場合、経済全体が深刻な供給不足に陥るリスクが大。フィリピンとインドへの打撃も甚大。フィリピンは直接的な原油輸入に加え、韓国などから多くの石油製品を輸入するなど間接的にも中東に依存。インドでは中東依存度は中程度だが、エネルギー効率が低いため、輸入が減少した際の生産への波及度合いが大。封鎖がさらに1年続く場合、これらの国々を中心にアジアの実質GDPは▲2.3%押し下げられる恐れ。急激な資本流出が通貨・債務危機を招くリスクも。


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