リサーチ・アイ No.2025-104 地方銀行における不動産関連融資の拡大と内包するリスク ― 不動産市場および越境融資に係るリスク管理の強化を ― 2025年10月29日 大嶋秀雄日本銀行は、本年10月に公表した金融システムレポートにおいて、わが国の不動産市場・融資に関する分析結果を公表。それによると、都市部中心に不動産価格が大きく上昇するなか、多くの銀行が不動産関連融資を積極化。地方における不動産価格の上昇は都市部対比小幅ながら、地方銀行(地銀)も不動産関連融資を強化。その結果、不動産・建設業向け融資の割合は年々上昇し、足元で2割超に。地銀は、個人向けの住宅・アパートローンにも積極的であり、住宅ローン等を含めれば融資の5割が不動産関連。地銀の不動産関連融資は、市況変化に伴うリスクがあることに加えて、越境融資(本店所在都道府県以外での融資)に係るリスクも存在。近年、地銀は越境融資を拡大しており、金融庁によれば、地銀の法人向け融資の5割強が越境融資で、不動産業向けも同様。越境融資は、新規取引を獲得できる一方、一般的に、貸出条件が緩和的となりやすく、情報収集を含めた与信管理が困難といった課題も存在。通常、不動産業向け融資は担保を確保するが、越境融資では保全率が低位。今後、地銀は、不動産市場の分析能力の向上に加え、融資先との関係強化や保全改善等を図り、不動産関連融資に係るリスク管理を強化する必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)