リサーチ・アイ No.2025-094 自民党・高市新総裁の経済政策は基調的な物価上昇圧力に ― 診療・介護報酬の引き上げや需要喚起策が背景 ― 2025年10月08日 藤本一輝自民党総裁選では高市氏が勝利。同氏は、他候補と同様にガソリン・軽油の暫定税率の廃止を公約に。これによるガソリンの価格下落で、コアCPIは前年比▲0.2%ポイント低下する計算。ただし、同政策には財源やGXの観点から課題も多く、これらの点にも注意を払った制度設計が肝要。一方、暫定税率廃止の影響を除けば、以下2点の政策から基調的なインフレ圧力が強まる可能性。第1に、診療・介護報酬の引き上げ。足元にかけての診療・介護報酬は、社会保障財政や患者負担への配慮などからインフレ下でも上昇が抑えられる傾向。高市新総裁は、早急に診療・介護報酬を引き上げる意向を示しており、今後、物価・賃金動向に応じた報酬引き上げは、公共サービス価格への上昇圧力に。第2に、需要喚起を重視した政策スタンス。わが国では、人手不足感が強まるなかで供給制約が強く、明らかな需要不足とは言い難い状況。仮に供給力を大きく上回る需要が喚起されれば、需給面からインフレ圧力が強まる公算大。上記のインフレ動向を考慮すると、日銀は来年度の賃上げ動向を見極めた後、年明けにも利上げを実施し、以降も利上げ路線を維持すると予想。もっとも、高市新総裁は以前から利上げに対して慎重姿勢を示しており、政府・日銀の政策調整の過程で利上げが手控えられる可能性も。金融政策の正常化が進まない場合、円安が進行し、輸入インフレが再燃する可能性。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)