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リサーチ・アイ No.2025-090

相続人がいないため国庫帰属となる相続財産は約1,300億円

2025年09月24日 岡元真希子


相続人がいない、あるいは相続人の存在が明らかでない場合、わが国の相続法制では、裁判所が相続財産清算人を選任し、亡くなった方の最後の家賃や医療費などの債務を清算したうえで、残った財産を国庫に帰属させることとなっている。2024年に、相続人不存在により国庫帰属になった金銭等は1,292億円に上った。これは10年前の約3倍にあたり、とりわけ近年は毎年3割前後のペースで増加。

背景には、親族がいない人の増加がある。65歳以上で亡くなった人のうち、未婚だった人の数は10万人を超え、10年前に比べて1.7倍に増加。男性は2.2倍と伸び率が大きい。

親族がいない人の死亡時に、自治体、家主や不動産管理会社、医療・介護事業者などが手分けして対応している。自治体は、引き取り手のない遺体を火葬する責務があるが、2023年に親族等に引き取られず自治体が火葬対応した死亡者は42,000人と推計され、これは同年の死亡者総数の2.7%に相当する。引き取り手のない死亡者への自治体の対応は増加傾向にある。

引き取り手のない遺体の火葬費用は多くの場合、公費負担となるほか、家賃や家財処分費用、医療費・介護費は相続人不存在等の場合には、回収手続きの事務負担のほうが大きいと判断され、未収金となる場合も多い。今後、親族がいない人の増加が見込まれるなか、死後の清算の費用を予め預けておくなどの仕組みを導入することで、身寄りのない高齢者とかかわる事業者等が未収のリスクを負わない環境整備が求められる。


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