リサーチ・アイ No.2025-087 日銀短観(9月調査)予測 ― 米関税引き上げによる逆風下でも景況感は底堅く推移 ― 2025年09月10日 藤本一輝10月1日公表予定の日銀短観(9月調査)では、企業の景況感が6月調査から概ね横ばいとなる見込み。全規模・全産業の業況判断DIは、6月調査対比+1%ポイント上昇すると予想。業種別にみると、大企業・非製造業が同+1%ポイント上昇する見通し。人手不足や物価高が重石となるものの、堅調なインバウンド需要や家計の所得環境の改善が景況感を下支え。製造業の業況判断DIは、大企業では前回から上昇する見通し。エネルギー安により素材業種の業況が引き続き改善するほか、米国との通商交渉の妥結を受けた不透明感の緩和が加工業種の業況を下支え。一方、7月以降の生産の弱含みを反映するかたちで、中小企業・製造業の業況判断DIは低下すると予想。先行き(12月調査)は、全規模・全産業で9月調査から▲2%ポイントの悪化を予想。製造業では、引き続きエネルギー安が素材業種の景況感を押し上げるものの、年末にかけて世界景気の減速が明確化するなか、輸出が多い加工業種を中心に景況感が弱含む見通し。非製造業の景況感も小幅悪化する見通し。インフレ率の低下による家計の購買力改善が全体を押し上げるものの、今秋以降の最低賃金の引き上げなどに伴う人件費の増大が、中小の対面サービス業を中心に景況感を下押しする見込み。2025年度の設備投資計画(土地投資を含み、ソフトウェア投資を除く)は、前年度比+6.9%と予想。人手不足感が強まるなか、省力化に向けた投資ニーズは旺盛であり、設備投資は増勢を維持する見通し。もっとも、4~6月期の企業収益の減少などを受けて企業が投資計画を見直すと予想され、製造業では例年対比で大きめの下方修正となる見込み。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)