リサーチ・アイ No.2025-084 トランプ関税のボーナス下押し影響は2段階で顕在化 ― 今冬は中小企業、来夏から多くの主要企業で減速 ― 2025年09月04日 藤本一輝企業収益は、トランプ関税が重石となり製造業を中心に減少。財務省「法人企業統計」によると、4~6月期の法人企業の営業利益は前期比▲3.2%と減益。これにより、来年にかけて以下の2段階でボーナス下押し影響が顕在化する見込み。第1段階は今年の冬。冬夏型(上半期までの業績を踏まえた冬の交渉で、翌年夏までのボーナスを決定)や各期型(半期ごとにボーナスを決定)の企業で下押し圧力が顕在化する見込み。こうした企業は中小企業に多く、中小企業のボーナスの伸びが低下する可能性。もっとも、①輸出企業の少ない中小企業への減益圧力は相対的に小さい、②夏冬型(前年度の業績を踏まえた夏の交渉で、冬までのボーナスを決定)の多い大企業では、今夏と同等の高い伸びが続くことから、ボーナス全体の大幅減には至らない見込み。第2段階は来年の夏。夏冬型の企業でボーナスの減額が始まる見込み。大企業のボーナスは前年の企業収益の増減に強く反応する傾向。今後も大企業の営業利益が4~6月期並み(全産業:前年比▲4.2%、製造業:同▲20.9%)に下押しされれば、主要企業の来年のボーナスは全産業で同▲0.8%、製造業で同▲4.1%の減額となる計算。ボーナスのような一時的な所得の増減が個人消費に与える影響は限定的。そのため、人手不足や物価高を背景に所定内給与(基本給)が増勢を維持することで、来年度以降も個人消費は緩やかに増加する公算大。ただし、ボーナスの減額が将来不安を高めることで消費減につながるリスクには要注意。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)