リサーチ・アイ No.2025-081 インド、GSTを10月までに大幅引き下げへ ― 個人消費の下支え期待も、急な制度変更による経済混乱に要警戒 ― 2025年08月26日 細井友洋インドは、日本の消費税に当たる物品・サービス税(GST)の大幅引き下げを本年10月までに実施する方針を表明。現在4種類ある税率を5%と12%の2種類に簡素化し、12%と28%の税率が課されている品目の大部分について、税率を引き下げる方向で検討。GSTの引き下げでインド経済は浮揚すると予想。インド経済は、米国の関税政策によって下押し圧力を受ける見込みであり、政府は税負担の緩和を通じてGDPの6割程度を占める個人消費の下支えを図る狙い。GST引き下げによるインド経済への影響を試算すると、CPIは▲0.9%程度下押しされ、個人消費とGDPは実質ベースでそれぞれ+0.7%、+0.4%程度押し上げられる見込み。これにより、トランプ関税の悪影響は一定程度緩和される見通し。とくに、自動車、家電などの耐久消費財に対する税率が28%から18%に引き下げられる見込みであり、これらの消費を押し上げる公算大。自動車は2024年以降販売が伸び悩んでおり、GST引き下げが市場拡大の呼び水となる可能性。もっとも、方針公表から制度変更までの期間が2か月程度と短く、新たな税体系への移行を円滑に行えるかは未知数。2017年にGSTを創設した際には、制度発表から導入までの準備期間が十分でなく、中小企業などを中心に、新たな税制度の理解やITシステムの導入に遅れが生じた経緯あり。今回も同様の混乱が生じれば、かえって経済を下押しするリスクも。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)