リサーチ・アイ No.2025-073 相互関税発動でアジア経済は減速へ ― 外需依存型の国・地域に影響大、中国の迂回輸出に対する米国の制裁強化に要警戒 ― 2025年08月05日 細井友洋米国は、各国・地域に対する相互関税上乗せ分を8月7日から発動。近日公表予定の新たな個別品目関税も勘案すると、アジア(除く中国)の対米輸出における実効関税率は2024年に比べて軒並み10~20%ポイント上昇。これにより、アジアでは2025年後半の対米輸出が年前半の駆け込みの反動も相まって減少し、景気は減速する見通し。関税による経済の下押し幅がとくに大きいのは、マレーシアとタイ。外需依存度が約7割と高いほか、主力輸出品(自動車、半導体関連品目など)に高い税率の個別品目関税が課されることが理由。ベトナムでも外需依存度は約9割と高いものの、中国からの生産移転によるプラス効果が、関税によるマイナス影響をある程度緩和すると予想。関税率が他国と同等になったため、チャイナ・プラスワンとしての立地競争力を維持。一方、内需主導型のインドネシア、インド、フィリピンへの影響は限定的。さらなる景気下押しリスクとして警戒すべきは、中国の迂回輸出に対する米国の制裁強化。米国は今般、高関税の回避を目的とした迂回輸出に対して40%の追加関税を課す方針を表明。迂回輸出の認定基準は不明だが、中国で生産された原材料・部品が多く使用されている製品が対象となる可能性も。この場合、対米輸出のうち中国で生み出された付加価値の割合が大きいベトナムなどでは、多額の制裁関税が課される恐れ。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)