リサーチ・アイ No.2025-072 日米関税交渉が妥結、需給面ではドル高・円安圧力に ― 対米貿易黒字縮小、米国への資金流入の加速が円を下押し ― 2025年08月04日 吉田剛士7月下旬、日米関税交渉が妥結。自動車関税率・相互関税率ともに15%で合意し、大幅な関税の引き上げは回避。市場参加者の間では、不確実性の後退から日銀が早期利上げに踏み切るとの思惑が強まり、交渉妥結直後には一時的に円高が進行。もっとも、妥結内容が実行されれば、需給面からドル高・円安圧力が高まる可能性あり。背景として、以下2点を指摘可能。第1に、日本の対米貿易黒字の縮小。米ホワイトハウスが公表したファクトシートによると、米国への輸出には15%の関税率が賦課される一方、日本は米国産の農作物、防衛品、航空機、液化天然ガス(LNG)などの輸入を拡大。試算によると、日本の対米貿易黒字額は、トランプ大統領就任前の低関税時と比較して年間ベースで▲6兆円程縮小する可能性あり。第2に、米国への資金流入の加速。米国との関税交渉において、日本は5,500億ドルの対米投資を行うことで合意。仮に、第2次トランプ政権期間中にこれらの投資が実行されれば、日本の対米直接投資は2028年には24年対比で9割増加し、ドル買い圧力が強まる見込み。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)