リサーチ・アイ No.2025-064 財政再建を急ぐフランス ― 政権運営の不安定化が景気下押しリスク ― 2025年07月29日 立石宗一郎、中井 勇良フランスの財政赤字は拡大。2024年の財政赤字はGDP比▲5.8%と、EUの目標である▲3%以内を大きく超過し、ユーロ圏で最大の財政赤字国に。こうした状況を受けて、政府は7月中旬に発表された2026年予算案で総額438億ユーロ規模の財政改善策を提示。年金支給額などの据え置きにより歳出を抑制するほか、富裕層課税や祝日廃止などにより歳入を増加させる計画。これにより、2026年の財政赤字はGDP比4.6%へ縮小する見込み。今後も財政赤字を段階的に縮小し、2029年にはGDP比2.8%と、EU目標を達成する計画。もっとも、緊縮的な予算案は政権運営を不安定化させる恐れ。政府の財政改善策に対して、中道与党支持層以外からの支持を得られていない状況。予算案は野党が反対しても憲法規定を適用して強行採択が可能であるものの、その場合、野党は不信任案の提出を示唆。実際、緊縮的な予算案を示した2025年度予算策定時には内閣不信任案が可決され、バルニエ前内閣が総辞職に追い込まれる事態に。今回も同様の事態となれば家計や企業のマインドが悪化するほか、金利急騰がフランス景気の足かせとなる公算。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)