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リサーチ・アイ No.2025-055

インドの株式デリバティブ市場で、個人投資家の損失が拡大― 若年・低所得層の資産形成を阻害し、格差拡大や個人消費停滞のリスクに ―

2025年07月10日 細井友洋


インドの株式デリバティブ市場において、個人投資家の損失が拡大傾向。2024年度の損失額は約1兆ルピー(約1.7兆円)と、3年前から2.6倍増。背景にあるのは、投資の経験が少なく、金融商品に対する十分な知識を持たない個人投資家の参入拡大。オンライン証券取引の普及やオプション料の引き下げなどにより、デリバティブ取引が手軽に。

個人投資家の構成を見ると、とくに30歳未満の若年層や、年間所得が50万ルピー(約86万円)未満の低所得層の割合が増加。就職難により安定した雇用・賃金を得られない若年層が、少ない元手で大金を得ようと証券投資に参入している可能性。インド証券取引委員会(SEBI)によれば、利益を出せる個人投資家は1割未満。デリバティブ取引に参入した若年層、低所得層は、かえって資産を失い、さらなる生活苦に陥っている模様。こうした傾向が続けば、格差の拡大や個人消費の停滞を招き、経済の成長鈍化につながる恐れ。

このような状況を踏まえ、SEBIは、昨年末以来複数のデリバティブ取引規制を導入。個人投資家の安易な参入を抑制するとともに、投機的な取引を制限して市場の安定化を図ることがねらい。もっとも、こうした措置の効果は今のところ限定的。規制導入後の昨年12月から本年5月の株式デリバティブ取引代金(1日平均)は、1年前から1割の減少にとどまり、2年前よりも4割大きい水準。今後、より直接的な規制が必要となる可能性も。


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