リサーチ・アイ No.2025-052 米国、住宅市場の低迷は長期化へ ― トランプ政策が強める供給制約、住宅価格の上昇圧力に ― 2025年07月09日 森田一至不振が続く米国の住宅市場は、足元で一段と減速。5月の住宅販売・着工件数はともに減少。今後も住宅市場の低迷は続く見通し。この要因として、以下のとおりトランプ政策が供給制約を強め、住宅価格を押し上げることが指摘可能。第1に、不確実性の拡大に伴う売り控え。先行き不透明感が強まる局面では、住宅所有者はコスト負担の大きい住宅の売却判断を先送りする傾向。実際、住宅所有者の売却意欲を示す住宅売却判断指数は、不確実性が高まるほど低下。米国では、住宅販売の85%(2024年)が中古住宅であり、売り控えによる住宅供給の減少が価格の上昇圧力に。第2に、関税による原材料価格の上昇。米国は、住宅建設に用いられる木材および同製品の6割を、10%を超える関税率が適用されているカナダ、中国、メキシコに依存。米国政府は木材に対する品目別関税を導入し、税率を引き上げることも検討しており、原材料価格が一段と高騰する可能性。第3に、移民規制の強化。建設業は他業種と比較して、労働力人口に占める移民の割合が大。トランプ政権が進める移民規制の強化が人手不足を招き、賃金上昇を通じて住宅価格を押し上げる見込み。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)