リサーチ・アイ No.2025-046 くすぶる米政権による為替政策リスク ― 為替政策報告書で、わが国の金融政策、公的年金基金の運用方針について指摘 ― 2025年07月01日 吉田剛士6月上旬に、米財務省が主要貿易相手国の為替政策を分析した為替政策報告書を公表。報告書では、「為替操作国」に該当する国はないと結論付けられた一方、中国、日本などの9カ国を為替政策の監視対象国に指定。日本は、対米貿易黒字と経常黒字の二項目が監視対象基準に抵触。さらに、米財務省は同報告書の中で、日本について以下2点を指摘。第1に、金融政策。日銀による金融引き締めは、円安修正をもたらすもので、継続すべきと指摘。もっとも、足元の日銀は、米関税政策の影響を見極めるため、利上げを一時停止。さらに、政策金利からインフレ率を引いた日本の実質政策金利は依然としてマイナス圏にあることから、今後、米政権がわが国の利上げを要求する可能性あり。第2に、公的年金基金の運用。公的年金基金は、為替相場を目的に海外投資を行うべきでないと指摘。近年の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオにおける外貨建て資産の割合の増加を、円安誘導と暗に批判しているとの見方も。今後、トランプ政権は対外不均衡を是正するため、通商政策に加えて為替誘導に踏み切る可能性があり、急速な円高進行リスクには警戒が必要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)