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リサーチ・アイ No.2025-036

米中交渉決裂なら、中国のデフレ輸出は深刻化 ― 繊維、雑貨などがアジア、欧州、日本に押し寄せる恐れ ―

2025年06月03日 室元翔太


4月の中国の対米輸出は前年同期比▲21%減少。主要ブランドの生産移転や対米出荷停止の影響がみられるスマートフォン、ノートパソコンがそれぞれ同▲70%、▲49%減少したほか、全体の約6割を占める相互関税対象品目が同▲23%減少。相互関税対象品目の多くは、繊維・衣類や家具・玩具などの低廉な消費財。

輸出減少の背景は関税引き上げ。試算によると、145%関税の適用で他国製品の価格を上回る中国製品の数が全体の2割から8割に増加。価格競争力の低下や先行き不透明感の高まりで出荷が差し止められた経緯。米中合意により関税が引き下げられたものの、今後、交渉が暗礁に乗り上げ、再び100%超の関税が課される場合、対米輸出が再び減少する恐れ。その場合、行き場を失った中国製品のデフレ輸出が、以下の2つの経路を通じて各国経済を下押しする可能性。

第一に、各国企業の国内経営の悪化。米国市場を失った中国製品は、市場規模が大きい国々に押し寄せる見込み。繊維・衣類はインド、韓国、インドネシアなどのアジア諸国に、家具・玩具などは日欧などの先進国に流入する可能性。輸入浸透度が低い場合、国内メーカーが中国製品との価格競争に晒されることで、業況が悪化する恐れ。

第二に、各国の輸出企業の経営悪化。相互関税品目の輸出規模が大きい国々は、その市場に流入する中国製品との厳しい競争に直面する恐れ。とくに、米国への輸出が少なく、米国市場で中国に代わってシェアを拡大することが難しい欧州諸国は、悪影響が大きくなる可能性。


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