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リサーチ・アイ No.2025-035

ベトナムの住宅価格、投資マネーが押し上げ ― 不動産市場の健全な発展を阻害し、マクロ経済にも悪影響を及ぼす恐れ ―

2025年06月02日 呉子婧


ベトナムの住宅価格は都市部で高騰。特に2025年に入り、ホーチミン市では平米あたりの販売単価が4,500米ドルを超え、ハノイでも高価格帯(ハイエンド)へのシフトが進行。背景として、資材価格や人件費の上昇に加え、以下の2点が指摘可能。

第一に、外国人投資家の不動産市場への参入拡大。米中対立の激化を背景に、ベトナムは中国からの生産移転先として注目を集め、対内直接投資が急増。なかでも不動産セクターに投資が集中。収益性の高さに加え、先進国と比較して不動産価格が割安であることから、外国人投資家は高級住宅を積極的に購入し、不動産価格を押し上げ。

第二に、機会損失への不安を背景とした、国内投資家による投機的取引の加速。ベトナム政府は行政効率化と成長戦略の一環として、現在の63省市を34省市へと再編する方針を掲げており、再編後の資産価値上昇を見込んだ不動産売買が各地で活発化。これがホーチミン市・ハノイ市の住宅価格を一段と押し上げただけでなく、再編が予定されているバクザン省やフート省などでも、土地価格が前年比で20~30%急騰。これを受け、政府は不動産売却益に対する税制の見直しを検討。

こうした不動産価格の上昇は、中間層の住宅購入意欲を押し下げる可能性。ハノイの家計所得は住宅価格の27倍に急騰。これにより実需と不動産価格の乖離が深刻化し、不動産市場の健全な発展を阻害するとともに、住宅所有層と非所有層の経済格差が拡大することで、マクロ経済の持続的成長に悪影響を及ぼす恐れも。


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