リサーチ・アイ No.2025-030 「金利のある世界」への回帰で広がる地銀間の収益力格差 2025年05月28日 大嶋秀雄上場地銀(地方銀行、第二地方銀行)の2024年度決算は、「金利のある世界」への回帰が進むなか、預貸ビジネスの復調を背景に資金運用利益が改善し、銀行の本業からの利益であるコア業務純益も前年度比2割増加。もっとも、資産規模の小さな地銀ではコア業務純益の増加が小幅となるなど地銀間の収益力格差が顕著に。なかでも資金運用利益は、預金金利が横並びで上昇する一方、貸出金利は銀行間で差が出やすく、規模の小さな地銀の大宗で預貸利ざやの改善が見られず。預貸ビジネスの成長力にも格差が存在。貸出残高をみると、規模が大きな地銀ほど伸び率が高くなった一方、規模が小さな地銀では、貸出の強化に必要となる預金が減少。とりわけ、総資産規模下位25%(67~87位、21行)では、3分の2(14行)で預金が減少。ほぼすべての地銀がコア業務純益黒字を確保しており、短期的には経営問題が生じる可能性は小さいものの、中長期的には収益力拡差が広がり、事業継続が困難になる地銀が出てくる恐れも。今後、地銀においては、融資先の経営課題解決への貢献等を通じて、貸出の付加価値向上、ならびに貸出金利の引き上げを図るとともに、リテール戦略の見直し等により、安定的な預金基盤を確保することが重要。また、地銀間の連携・再編等も選択肢となるだろう。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)