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JRIレビュー Vol.2, No.137

頼れる身寄りのない人に入院医療を保障するための方策 ― 福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業の実施にあたっての提案 ―

2026年10月29日 岡元真希子


入院に際して、医療機関は身元保証人等(以下、保証人)を引き受けた親族に対して、債務保証や退院時の対応、患者の意思の推定・伝達や入院に伴う生活上の世話を求める。この役割を担う人がいないと、医療機関は未払金やクレームなどのリスク、業務上の負担などを負うこととなるため、頼れる親族がいない人は入院を断られてしまうこともある。厚生労働省は、保証人がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することのないよう通知を出しているが、保証人が引き受けてきた役割を代わりにどう分担するかは各地域に委ねられている。保証人を引き受ける民間の高齢者等終身サポート事業者は増加しているが、地域的に偏在しており、資力が乏しい人には利用が難しい。このような状況を踏まえ、誰もが入院医療にアクセスできるよう、入院時の支援が、社会福祉法に基づく事業として位置づけられることとなった。

法改正により、現行の「福祉サービス利用援助事業」(以下、現行事業)が「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」(以下、新たな事業)となる。現行事業では介護保険や障害福祉サービスの利用手続きの援助を行うが、改正後はこれに加えて入院時の支援や死後事務も利用援助の対象範囲となる。現在の対象者は、認知症・知的障害・精神障害等のために判断能力が不十分で手続きが難しい人であるが、新たな事業では、頼れる身寄りのない高齢者等も対象となり、対象者は大幅に拡大する。現行事業の主な担い手である社会福祉協議会(以下、社協)が、新たな事業においても重要な担い手として期待されている。

新たな事業の対象となる人は、契約時点では支援を必要とする事態が発生しておらず、自立した生活を送っている人が多いと予想される。契約から入院の発生まで、長い年月が経過する可能性も高い。新たな対象者に入院時の支援を提供する際には、現行事業の利用者とは異なる方法で、より効率的に支援を行うべきである。とくに、見守り・状況把握と、費用の支払い支援については、工夫の余地が大きい。

見守り・状況把握について、現行事業の利用者は訪問・対面による安否確認が中心だが、新たな利用者に対してはICTを活用した既存サービスを、不安の度合いや生活習慣に合わせて選択し、入院や緊急事態の発生の有無を長期間にわたって低コストで把握し続けることが重要である。入院手続きや医療従事者との情報共有の際に求められる本人情報は、最新の状況に更新するために電子的に管理し、利用者のスマートフォン等に提示して定期的に更新を求めるほか、マイナポータルから受診・服薬、健診情報を取り込む方法が有効である。

支払い支援については、高齢者等終身サポート事業者が預託金のなかから本人に代わって行っている仕組みを参考に、第三者型前払式支払手段(電子マネー等)を用いて、医療費を支払う方法が考えられる。利用者はあらかじめ、医療費として予想される金額を決済事業者に入金しておき、患者本人が支払えない場合に、医療機関は請求書を支援者(社協等)に提示し、支援者は内容を確認のうえ、利用者の電子マネー残高から支払うように決済事業者に連絡する。これにより、支援者は高額の預託金を管理する負担を負うことなく、利用者自身が支払いをできない状況であっても、円滑に支払いを行うことができる。


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