JRIレビュー Vol.7, No.134 欧州経済見通し 2026年07月31日 立石宗一郎、栂野裕貴欧州経済は2027年にかけて持ち直しに転じる見通しである。アメリカとイランの軍事衝突に伴うエネルギー価格の上昇で景気は一時的に減速するものの、国際情勢が安定を取り戻すにつれて、インフレ圧力が徐々に緩和し、景気の持ち直しを後押しすると見込まれる。当局の政策対応もインフレ圧力の沈静化を後押しする公算が大きい。欧州中央銀行(ECB)は機動的に金融引き締めを行うほか、欧州連合(EU)や各国政府が進める省エネルギー政策もインフレ圧力の抑制に寄与すると予想される。さらに、国際環境の変化に対応した構造改革や政策対応が、経済の耐性を高め、回復の持続性を支える見通しである。財政面では、コロナ禍を受けて設立された欧州復興基金からの資金拠出が、南欧諸国の成長を下支えしている。ロシアによるウクライナ侵略を契機とするエネルギー構造転換の加速や、防衛支出の増加も景気回復に寄与する見通しである。保護主義の広がりに対応したグローバルサウス等との貿易多角化の進展も、外需の取り込みを通じて景気を押し上げると見込まれる。もっとも、政策対応が十分でない領域では、成長を抑制するリスクが燻る。エネルギーや防衛関連分野における対米依存の高まりは、米欧関係の不安定化やアメリカの政策変更を通じて、欧州のエネルギー・防衛調達に不確実性を生じさせる可能性がある。また、所得格差や移民流入を巡る社会的摩擦の問題も解消に至っておらず、政治的分断が経済運営に影を落としかねない状況にある。2027年のフランス大統領選挙など主要な政治イベントの動向次第では、主要国で自国優先の政策志向が強まり、EU主導の経済政策が停滞するリスクに留意が必要である。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)