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JRIレビュー Vol.3, No.130

地方創生から地域未来戦略へ - 若者・女性に選ばれる地域にするために -

2026年03月12日 藤波匠


2025年7月、石破前首相肝いりの政策プラン「地方創生2.0」が動き出したばかりであるが、10月に高市政権が成立すると、地方政策の軸足は移住・定住促進から経済振興へと移り、2026年夏をめどに「地域未来戦略」を取りまとめることが示された。政策方針が急転換された背景には、地方創生2.0策定過程でも指摘されていたが、地方からの若者・女性の流出超過がある。

近年、地方からの人口流出は、男性よりも女性の方が顕著である。中高年男性では、地方に戻る動きもあるが、中高年女性にはそうした傾向は見られない。地方から若者・女性の流出が顕著となるのは、①地方創生戦略の中心的施策となった移住促進等が、中高年男性向きの取り組みであったことはもとより、②地方において優良な働き口であるはずの製造業が主として男性雇用の受け皿となり、質の高い女性雇用を生み出すことができなかったこと、③情報通信産業に見られるような、賃金・昇進等でジェンダーギャップの小さい働き口が大都市に集中し、女性を積極採用したこと、などが原因である。

地方創生10年のもっとも重要な教訓は、人口移動の方向性は、雇用の質と量によって決定されるということである。限界が見えていた移住促進を柱とする従来型の地方創生戦略に、産業振興や良質な雇用の創造の観点を盛り込んだ地域未来戦略というオプションが付加されたことは望ましい方向性である。

ただし、高市政権の成長戦略で示された17の戦略分野は、その中心となるのが製造業や建設業であり、男性雇用の受け皿となりがちと考えられる。地域未来戦略は、クラスター戦略や地場産業支援からなるが、どちらもともに17の戦略分野の延長線上に位置づけられることになれば、女性の地域定着は期待薄である。製造業などで、より積極的に女性人材の活用が図られるよう、企業におけるジェンダーギャップの解消とともに、理系や技術系の女性人材の育成など、教育の再構築も必要となろう。

製造業を核としたクラスター形成は、成功すれば地域にとって大きな恩恵をもたらすが、2000年代に取り組まれた産業クラスター計画を振り返れば、過半の計画が自然消滅のような形の終わりを迎えるリスクもあり、注意が必要である。また、地域未来戦略の範囲を、無理に戦略分野に絞り込むことなく、地方の有力産業となりつつある観光を含めて考えるなど、前広に構えるべきである。地域の強みや弱みを踏まえた総合的な産業戦略を構築することこそ、今後の地方活性化で目指すべき方向性といえよう。


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