コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

JRIレビュー Vol.1, No.128

世界経済見通し

2025年12月26日 西岡慎一


足元の世界経済は持ち直している。中国では過剰供給の調整が続いていることが世界景気の重石となっているが、多くの国では高騰していた物価が落ち着き、家計部門の支出が回復する方向にある。さらに、人工知能(AI)関連分野では、アメリカやアジアを中心に生産や設備投資が拡大しており、景気を押し上げている。また、各国で財政政策や金融政策が緩和されるとの期待も大きい。こうした要因が市場心理を好転させ、株価の上昇にもつながっている。

当初懸念されたアメリカの通商政策の影響が想定より小さかったことも、足元の景気を下支えしている。アメリカやその貿易相手国の企業が関税コストを吸収する動きを強めたほか、悪影響の回避に向けて供給網を見直す動きもみられている。これにより、アメリカでは価格転嫁による物価上昇や収益悪化による賃金下落が限定的であり、家計部門にさほど悪影響は広がっていない。それ以外の国でも、対米輸出の減少を起点にした経済全体への悪化は目立っていない。

こうした世界景気を支える動きは当面続き、先行きは緩やかな回復をたどると予想する。アメリカ関税の悪影響が一部で残ることから、2026年の世界経済の成長率は3.1%と幾分減速するが、2027年には3%台半ばへ上昇すると見込んでいる。ただし、注意すべき点として、世界的に国家が市場に介入し、資本や産業を戦略的に誘導する潮流が広がっている。この「国家資本主義」はモノ・ヒト・カネの自由移動を制約し、中長期的な世界経済の成長力を低下させる可能性がある。

このような流れのなかで、当面のリスクの1つとして、政府の産業支援が多額にのぼり、過剰供給の問題が広がることが挙げられる。主要国では、先端分野や安全保障分野での国産化が国家戦略の中核に位置づけられており、通商政策や産業政策を通じた政府支援が広がっている。過度な投資が生産調整を深めるほか、政府債務の増大が金利上昇を招き、持続的成長の足かせになる可能性もある。日本を含む高債務国では、金利が経済成長率を上回る局面に入り、債務が経済規模の成長スピードを超えて膨らむ恐れがある。これを受けて政府が緊縮財政を強いられ、経済成長が一段と低下する悪循環に陥るリスクがある。

とくに、AIや半導体分野ではすでに過熱感が強く、政府支援がこれを助長する可能性もある。アメリカでは、関連企業の外部資金調達が増加する傾向にあることから、株価や投資の調整で市場のセンチメントが悪化する場合、企業の資金調達環境が悪化し、景気悪化を増幅させるリスクもある。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ