コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

Economist Column No.2025-082

離島の人口減少とアクセス性悪化

2026年03月13日 藤波匠


【本論考は、共同通信社のKyodoWeekly2026年 1月26日号の「よんななエコノミー」に寄稿したものに若干の修正を加えたものである】

昨年、何度か仕事で離島に行く機会を得た。島には、本土とは異なる独自の文化や自然、風景があり、見て回るだけでも十分楽しいのだが、そこにその地に暮らす人との交流が加われば、旅は一層印象深いものとなる。
ただ、離島の場合、本土とは異なるアクセスの困難さがあり、たどり着くだけで一苦労というケースが少なくない。もちろん、離島でも、空港があり都市部からの直行便があれば問題はないが、アクセスが1日数本のフェリーに限られる場合が多々ある。
空港があり、アクセスが担保されている離島では、観光客の誘致に成功している例もある。また、離島とはいっても、橋で本土とつながっているところもあり、そうした島では本土とあまり変わらない生活が営める例もある。昨年出張した先も、空港がある離島では、観光振興に成功し、島外資本のホテルが進出していた。また、大都市住民が所有するセカンドハウスが増えているという話も聞いた。
問題は、空港や橋がなく、フェリーでしかアクセスできない離島である。こうした離島では、島の人口や観光客の減少、さらには船員確保の困難さから、フェリーを維持することが難しい状況となりつつある。フェリー航路は、行政の補助によって最低限維持される可能性は高いものの、すでに各地で便数の削減やアクセス港の統廃合が進められている。
港の維持にもコストがかかるため、利用者が少ない港の機能を停止させ、他の港に機能を集約させた例もある。昨秋訪れた鹿児島県甑島では、2023年にフェリーの寄港地が3港から2港に削減されている。港の集約によって、自家用車を運転できない人や高齢者では、フェリーへのアクセスが悪くなってしまったケースもあろう。
フェリーの効率性を高めるため、小型船舶に置き換えた事例は複数ある。ただ、すでにそうした運用がなされている場合や、小型船舶では厳しい外洋の航路、さらには貨物輸送のことまで考えれば、小型化による効率化にも限界があろう。
離島フェリーでは、本土側の港へのアクセス性も問題となる。フェリーの起点となる本土側の港と都市中心部を結ぶ公共交通が、採算性悪化により失われてしまうケースである。
沖縄県伊是名島へのアクセスは、今帰仁村の運天港を起点とするフェリーに限られている。15年ほど前の伊是名島への出張の際、運天港までの路線バスが運悪く休止状態にあり、とても苦労した記憶がある。路線バスは、10年ほど前に復活したものの、それでも最寄りの都市部である名護の街から、遠回りをして1時間以上を要する。おそらく全国各地に、公共交通だけではアクセスが不可能、あるいは極端に不便な離島があると思われる。
離島の中には、わが国の外縁部に位置し国境離島となっている場合があり、そのようなケースでは国の安全保障上、一般的な過疎とは区別して考える必要がある。これまでも離島振興法などによって、生活・産業基盤の維持や島経済の活性化が図られてきたが、島へのアクセス性の悪さと人口減少の悪循環を断ち切るには至っていない。有人離島支援のあり方は、根本的な見直しが必要な時期に来ているのではないだろうか。


※本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊社が一般に信頼出来ると思われる資料に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがあります。本資料の情報に基づき起因してご閲覧者様及び第三者に損害が発生したとしても執筆者、執筆にあたっての取材先及び弊社は一切責任を負わないものとします。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ