コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

Economist Column No.2025-059

2026年の日本経済、キーワードは「人」

2025年12月04日 石川智久


■2026年の日本経済のテーマは「人」
年末ということもあり、2026年の日本経済の重要テーマは何になるかを考えてみたが、筆者は「人」が重要なキーワードになるとみる。具体的には出生数、外国人、労働者に注目が集まるだろう。

■人に関するテーマ①:出生数~丙午のジンクスを乗り越えられるか
まず、人の観点から出生数が注目される。2026年は丙午(ひのえうま)である。わが国では、「丙午(ひのえうま)生まれの女性は気性が激しすぎて夫を不幸にする」 という迷信により、1906 年と1966 年の出生数はその前後の年と比べて大きく減少した。足元でも少子化が続くなか、丙午のジンクスによるさらなる出生数の低下は、中長期的に看過できない悪影響を及ぼす。出産などについて前向きな機運を醸成することや、少子化対策を強化することが一層求められる年となろう。

■人に関するテーマ②:外国人~政府は1月を目途に外国人政策の基本方針とりまとめ
高市政権は、外国人をめぐる問題について、排外主義とは一線を画しつつ、きぜんと対応する考えを示しており、2026年1月を目途に外国人政策に関する基本的な考え方を取りまとめる方針である。具体的には「既存のルールの順守・各種制度の適正化」と「土地取得のルールの在り方を含む国土の適切な利用・管理」について方向性が示される。人手不足のなか、外国人労働者に頼る部分も増えているが、欧米では外国人問題が国家分断につながっている。欧米の失敗を踏まえつつ、日本への適合度が高く就業能力の高い人材に的を絞った受け入れ策を工夫していくことで、日本人と在留外国人の双方にwin-winとなる関係を構築していくことが求められる。

■人に関するテーマ③:一般の労働者~AI時代に対応した雇用と人材教育で失業対策を
米国ではAIが急速に普及するなか、ホワイトカラーの業務がAIに置き換わりつつある。特に若手がこなしていた業務をAIが代替するようになっており、米国では大学卒業生の失業率が上昇傾向にある。こうしたなか、米国では今後数年以内に若年層の失業率が25%程度まで上昇し、多額の授業料を払ったのに良い仕事に就けないことへの不満から、前例のない社会的混乱が起こるとする見方もある。一方で、技能工については雇用・賃金とも良好であり、彼らは「ブルーカラービリオネア」と呼ばれ始めている。もっとも、AIは当面ホワイトカラーの仕事を奪ったのち、中長期的にはブルーカラーの仕事をも奪うとする意見も聞かれる。
日本としては、海外の状況を参考にしつつ、リスキリング教育等を強化することで、ホワイトカラーであれ、ブルーカラーであれ、AI活用時代に対応した雇用や人材教育を進めることで、AIに仕事を奪われない社会を目指すべきだろう。



※本資料は、情報提供を目的に作成されたものであり、何らかの取引を誘引することを目的としたものではありません。本資料は、作成日時点で弊社が一般に信頼出来ると思われる資料に基づいて作成されたものですが、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。また、情報の内容は、経済情勢等の変化により変更されることがあります。本資料の情報に基づき起因してご閲覧者様及び第三者に損害が発生したとしても執筆者、執筆にあたっての取材先及び弊社は一切責任を負わないものとします。
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ