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株価と遺伝子

2008年11月01日 古賀啓一


昨今の金融危機で市場は大荒れになり、日経平均のチャートを見ると大きく下降してしまっています。原因はいろいろと言われているところですし、それをあらかじめ知ることができれば、株価の下降も予測できたのかもしれません。一方で、株価の値動きは予測できないとする意見もあり、ランダム・ウォーク理論として広く知られています。このランダム・ウォーク、実は遺伝子でも起きているということをご存知でしょうか。

遺伝子のランダム・ウォークというのは、酔っ払いが道を歩くことにたとえられます。この道の両脇には溝があり、ふらふらと酔っ払いが歩いていきます。酔っ払って千鳥足になってしまった人でも幅の広い道を歩いていると溝に落ちにくいのですが、道が狭いと、ほんの少し歩いただけでも溝に落ちてしまいます。このたとえでは、酔っ払いが遺伝子、道の幅の広さがその遺伝子を持っている生物の数を表し、溝に落ちるというのはその遺伝子がなくなってしまうことを意味しています。要は、ある生物の数が減ると、時間とともに遺伝子が失われていく、遺伝子の多様性が低下していくということです。すると、急な環境の変化に耐え切れずにその生物が丸ごと消えてしまうということにもつながります。

それでは、そうした消失を避けるにはどうすればいいかというと、遺伝子を多様な状態にしておけばいいわけです。このあたりも、投資リスクを下げるためにポートフォリオの構成銘柄を多様化させてリスク分散させる、ということによく似ています。多様な遺伝子があれば、環境の変化に耐えて生き残るものもでてくるでしょう。ただし、生物の場合は、その多様な遺伝子を維持するために十分な数を保つ必要もあるのです。
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