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見える排出権、見えない排出権

2008年05月15日 佐々木努


「温暖化対策」として「植林」を想像される方も多いだろう。実際に、自社所有林において排出権が得られないかとか、農地の適正利用によって排出権を得ることはできないか、といった問い合わせを受ける機会も多い。いずれの場合も植林などの吸収源排出権を非常に肯定的にとらえられている。

一方で、排出権については「目に見えないもの」、「お金で解決する免罪符」という意識を持つ方が少なからず存在するのも事実である。そのような意識を持った方にとっても、植林の排出権は他の排出権とは違う何か特別なものと思われるのではないだろうか。筆者はこの理由を、森林の排出権だけが「目で確認することができる」ことにあると考える。

森林は成長する過程でCO2を吸収・固定する。植林の排出権の考え方では、「成長量」=「木が吸収・固定したCO2 量」=「排出権」となる。したがって森林の成長が続く限り排出権が生み出されるし、伐採や山火事・倒木などにより森林が減少すれば吸収・固定されていたCO2は再び大気中に放出され排出権は失効することになる。

いずれにしても、植林の排出権は木の成長として「目で確認することができる」ため、誰にとっても分かりやすく、温室効果ガスを減らしたと実感することができるのだ。他の排出権も「見える」ような工夫を施すことで、少しでも排出権に対する理解が進むのではないだろうか。
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