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Business & Economic Review 2009年4月号

【特集 経済・雇用危機への対応】
生産調整がわが国雇用に及ぼす影響-余剰人員は250万人に

2009年03月25日 調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 枩村秀樹


要約
  1. 鉱工業生産が大幅減少

    昨年秋から鉱工業生産が急減している。11月は前月比▲8.5%、12月は同▲9.8%と、2カ月連続で二桁近い減少となった。四半期ベースでみても、2008年10.12月期は前期比▲12.0%と、過去最大の減少幅である。こうした鉱工業生産の急減を主因に、2008年10.12月期の実質GDP成長率は前期比年率▲12.7%と、1974年1.3月期以来の二桁マイナス成長になった。
    2009年入り後も、鉱工業生産の減少に歯止めがかかっていない。1月には前月比▲10.0%と二桁の落ち込みとなった。さらに、2〜3月の生産計画でも、一段の減産が進む見込みである。製造工業生産予測調査を使って先延ばしすると、3月の鉱工業生産は前年同月比▲38%の落ち込みになると試算される。生産水準でみても、80年代前半のレベルに急低下する。四半期ベースでは、1〜3月期の鉱工業生産は10〜12月期を上回る前期比▲22%、年率換算すれば▲60%という、にわかには信じがたい数値となる。
    鉱工業生産の減少の主因は輸出の急減である。1月の輸出数量は、前年同月比▲41.1%の大幅減少となった。世界景気の悪化により、自動車、電子部品・デバイス、産業機械などの海外需要が急減したことが背景にある。地域別にみても、サブプライム問題の震源地であるアメリカ向けにとどまらず、欧州、アジア、中東向けなど、ほぼすべての地域向けの輸出が二桁を超える減少となっている。
    加えて、在庫調整がかつてないペースで進んでいることも、今回の生産減少局面の特徴である。とりわけ自動車での在庫調整が急ピッチで進んでいる。需要面をみると、1月の乗用車の国内販売台数やアメリカでの輸入車販売台数が
    前年比▲20〜▲25%の減少にとどまるなか、生産面をみると、国内生産台数はそれらを大きく上回る同▲46%の減少となった。2月の国内生産台数は同▲58%と、減産幅が一段と拡大する見込みである。生産の減少幅が需要の減少幅を大きく上回っていることは、在庫水準が大きく減少していることを意味する。このような在庫調整の急進展が、1〜3月期の鉱工業生産の落ち込みを増幅したのである。
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