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Business & Economic Review 2006年09月号

【REPORT】
雇用・就業情勢にみられる地域間格差-域外需要を活用した労働需要創出がカギ

2006年08月25日 調査部 ビジネス戦略研究センター 主任研究員 枩村秀樹


要約

  1. 地域間の雇用・就業情勢には大きな格差が存在している。就業率(就業者/15歳以上人口)でみると、最も高い東海と最も低い北海道との間には2005年時点で7.1%ポイントの乖離がみられる。また、中期的にみると、地域間の就業率格差の変動は小さいため、構造的要因に起因する公算が大きい。本レポートでは、こうした就業格差が生じている要因を労働需要・供給の両サイドから分析した。

  2. まず労働需要面からみると、就業率と最も相関が高いのは各地域の需要水準(一人当たりGDP)である。需要水準の格差が生じる背景の一つとして、域外需要(移輸出)の大きさを指摘できる。すなわち、就業率が高い地域は、域内の人口規模・産業構造などの制約を受けずに拡大可能な海外・域外の需要を積極的に取り込むことを通じて、高い就業率を実現する傾向がみられる。

  3. 次に労働供給面からみると、地域間の就業率格差は、就業率の低い若年層人口の大小が原因との見方もある。しかし実際には、就業率が高い地域では、人口構成に伴う変動要因よりもむしろ、全年齢層にわたって就業率が高く、とりわけ女性と高齢者の就業率が高いことが特徴として指摘できる。したがって、就業率を決める最大の要因は労働需要の大きさで、労働供給側が女性・高齢者の活用などを通じて労働需要に対応しているという側面が大きい。

  4. 以上を踏まえれば、就業率が低い地域が、今後、就業率を引き上げていくためには、a.労働需要の創出、b.女性・高齢者の就業促進、の二つが重要である。とりわけ労働需要の拡大が不可欠であり、そのためには、各地域の特徴を生かしつつ、財・サービス輸出などの域外需要の活用を通じて産業基盤・経済構造を強化していくことが重要になる。
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