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Business & Economic Review 2006年08月号

【REPORT】
拡大が期待されるわが国の食料品輸出

2006年07月25日 調査部 ビジネス戦略研究センター 副主任研究員 枩村秀樹


要約

  1. 2000年ごろから、わが国の食料品の輸出が増加傾向にある。一次産業比率が高く、少子高齢化が加速している地方にとって、食料品輸出は今後の域内経済の牽引役として期待される分野である。他の先進国と比較しても、わが国の輸出全体に占める食料品のシェアは際立って低いため、食料品輸出の拡大余地は大きいと判断できる。

  2. 食料品の輸出が増加した背景として以下の3点が指摘できる。
    a.健康的とみられている日本食への関心の強まり
    b.アジア諸国での所得水準の向上による高付加価値品市場の拡大
    c.貿易自由化の拡大に伴う輸入国サイドの関税・非関税障壁の緩和
    この傾向は今後も続き、食料品輸出が増加しやすい環境が持続する見通しである。

  3. こうしたなかで重要になるのは、わが国農業が強みを持つ高付加価値品を軸にした輸出拡大への取り組みである。これは台湾向けのリンゴ輸出が典型例である。すなわち、2002年以降、わが国の台湾向けリンゴ輸出は10倍の規模に拡大したが、輸出単価をみると他国の2倍の水準であった。こうした価格面の不利にもかかわらず輸出が急増したのは、品質・安全性を前面に打ち出して、高付加価値品市場の拡大に成功したことが背景になっている。

  4. 今後も、中国を中心とした高所得者層の市場規模拡大に伴い、わが国食料品の輸出は中長期的にわたって大きく増加する可能性があり、地域経済活性化の手段としても非常に有望である。これを実現するには、政府としても、a.海外市場でのPR活動、b.検疫・通関など非関税障壁の改善、などの支援策を積極的に打ち出すことが求められる。
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