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Business & Economic Review 2006年06月号

【REPORT】
地域経済に対する輸出の景気牽引力

2006年05月25日 調査部 ビジネス戦略研究センター 副主任研究員 枩村秀樹


要約

  1. 公共投資・人口の減少などを背景に地域経済に対する先行き悲観論も根強いが、足元の景況感をみると、東海・近畿・九州など、首都圏を上回って改善している地域も存在している。この背景の一つとして、これらの地域で輸出の景気牽引力が高まっていることを指摘できる。


  2. 輸出の景気牽引力が強い地域では、a.輸出依存度と輸出産業の集積度が高い、b.高成長を続けるアジア向け輸出比率が高い、c.所得弾性値の高い製品の比率が高い、という三つの特徴が見出される。
    a.輸出依存度を輸出額の域内総生産比でみると、輸出の景気牽引力が高い地域では全国平均を上回る高さになっている。とりわけ東海では20%と突出している。さらに、注目されるのは、これらの地域では輸出産業の集積も進んでおり、輸出の景気牽引力が一段と高まる方向にある。
    b.輸出相手国をみると、輸出の景気牽引力が高い地域では、高成長が続いているアジア向け輸出のシェアが高い傾向がある。とりわけ九州・中国では、アジア向け輸出シェアが1990年以降に大きく上昇した。
    c.輸出製品では、電気機械・化学の所得弾性値が大きく、輸出の景気牽引力が高い地域では、これら製品のシェアが高い傾向がある。とりわけ九州では、半導体産業などの集積を背景に、電気機械・化学のシェアが1990年以降に急上昇した。


  3. 今後を展望しても、地域経済にとって輸出産業は、a.海外市場規模が国内市場を上回るペースで拡大していくこと、b.人口減少下でも生産性向上により供給拡大が容易であること、を勘案すれば、重要性が一段と増す公算が大きい。こうしたなか、地域経済が輸出をテコに景気拡大を図っていくためには、高成長持続が見込まれるアジア向け、および所得弾性値の高い製品を中心とした輸出構造を目指して、輸出産業の育成に取り組むことが重要になってくる。

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