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Business & Economic Review 2005年07月号

【REPORT】
アメリカインフレ懸念の妥当性を検証する-利上げペース加速の公算は小

2005年06月25日 調査部 マクロ経済研究センター 副主任研究員 牧田健


要約
  1. 最近、アメリカではインフレに対する警戒感が強まりつつある。本稿では、アメリカでのインフレ懸念の妥当性を検証するとともに、アメリカの金融政策の先行きを展望する。

  2. アメリカの消費者物価は、コアベースでは低位安定が続いている。今後のインフレ動向は、足許上昇の兆しが見え始めた単位労働コストが大きく上昇するか否かが鍵を握っている。

  3. 労働コスト上昇圧力は、a.労働生産性の高い伸びが続いていること、b.企業の人件費抑制姿勢が強まっていることを勘案すると、当面抑制された状況が続く見込み。高い労働生産性は、IT資本の装備率の高まりに依拠しており、大幅な伸び鈍化は見込み難い状況にある。また、雇用は企業の利益率変動に応じて柔軟に調整される傾向が強まっているほか、グローバル化の進展が恒常的に労働分配率引き下げに作用している。

  4. 加えて、依然1.3 %程度のGDP ギャップが残存している。労働需給に関しても、見掛け上失業率は低下しているが、その主因は労働参加率の低下であり、実質的には依然6%前後と高止まりしている。賃金インフレ圧力が強まるのは時期尚早、と判断される。

  5. 以上を踏まえ、今後の米FRB の金融政策を展望すると、FRBは「慎重なペースでの利上げ」を当面維持できるだけの時間的余裕を有しており、利上げペースを加速させる必要性は乏しい。むしろ、景気が減速傾向を強めた場合には、「利上げ小休止」のスタンスに転じる可能性もありえよう。


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