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Business & Economic Review 2006年01月号

【FORECAST】
人口減少下での住宅市場の展望-「質」重視への転換をテコに緩やかな拡大持続

2005年12月25日 調査部 ビジネス戦略研究センター 副主任研究員 枩村秀樹


要約

  1. 今後、わが国が人口減少社会に転じていくと予想されるなか、住宅市場が縮小に向かうとの懸念が 台頭している。そこで、年齢別・住居形態別の世帯数予測をもとに、ストック・フローの両面から中長期的な住宅戸数の推移を展望してみると以下の通りである。

  2. まず、ストック面では、高齢者世帯の持ち家ストックが増加するものの、少子化の流れを反映して 20~39歳世帯の住宅ストックが貸家を中心に大きく減少するため、2015年ごろをピークに緩やかな減少傾向に転じる見通しである。

  3. 次に、フローの新設着工戸数を持ち家に絞って展望すると、ストックと同様に、若年世帯での減少、 高齢者世帯での増加というシナリオが展望できる。もっとも、若年世帯での新設需要の急減を背景に、全体の新設需要はストックよりも早い2010年ごろにピークをつけ、その後やや速いペースで減少に向 かう見通しである。

  4. このように、住宅着工戸数が減少に転じるのは避けられないとみられる。しかし、住宅市場全体と してみれば、中期的に緩やかな拡大傾向が持続すると予想される。実際に、一定の前提の下で試算すると、持ち家住宅の市場規模は、2015年までの15年間で約23%拡大するとの結果が得られた。これは、 以下の二つの要因が着工戸数の減少をカバーするとみられるからである。
    a.一人当たり居住面積が拡大して、住宅の総床面積を押し上げる。
    b.持ち家に住む高齢者世帯の急増を背景に、リフォーム需要が増加する。

  5. こうした住宅市場の拡大シナリオに積極的に対応するためには、a.量よりも質を重視した住宅供給 姿勢への転換、b.高齢者世帯のニーズの対応強化、の2点が重要になる。
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